リア13速!多段化の流れが止まらない!ロードバイクのコンポは一体どうなる?
近年、ロードバイクのギアで「フロントシングル」+「リア多段化」の流れが顕著になっています。
グラベルロードという新しいジャンルも定着しつつある中で、従来の「前2枚/後11枚」の構成だったギアは当たり前ではなくなりつつあります。
そんな中、「リア12段」という変化が自転車業界で話題を集め、2020年にはついに「リア13段」という地点にまで到達してしまいました。
未来のロードバイクがどのような方向性で進化していくのか気になるところです。
今回はカンパニョーロから登場したリア13段コンポ「EKAR(エカル)」を中心に、フロントシングル+リア多段化のメリット・デメリットについても紹介していきます。
カンパニョーロからリア13段のグラベルコンポ「EKAR」が登場
2020年9月24日、イタリアの自転車部品メーカー「Campagnolo(カンパニョーロ)」から、リア13段の変速機を搭載したグラベルコンポ「EKAR(エカル)」が登場しました。
https://www.youtube.com/watch?v=CcVME3jMp2Y
引用:「Campagnolo」より
ついこの前までリア12段で盛り上がっていた気がするのですが、ここにきてカンパニョーロが一歩前に出る形で新製品をリリースしています。
「リア13段」というのがキーポイントではありますが、グラベルコンポとして最も軽量なグループセットで構成されており、フロントシングルかつリア13段のワイドレシオを実現した革新的なコンポです。
引用:「Campagnolo」より
スプロケットも見ての通り、大きくて1枚1枚が薄そうなデザインになっています。
気になるお値段は約25万円程度と、デュラエースよりも少しお高い価格です。
フロントシングルで変速操作は右手のみになるため、路面状況の変化に合わせたギアチェンジもしやすいですし、オフロードも含めて走るグラベルロードに搭載するコンポとしては最新かつ究極的な形と言えるかもしれません。
パーツメーカー「ROTAR」もリア13段に対応
実は、SHIMANO/Campagnolo/SRAM以外の自転車パーツメーカーでも、リア13段に対応した商品をリリースしています。
スペインのパーツブランドで楕円チェーンリングでお馴染みな「ROTAR」では、2019年の時点でリア13速に対応したグループセットをリリースしています。
引用:「diatecitd.」より
こちらもカンパと同じく「1×13段」の構成となっており、フロント変速を排除したスムーズなギアチェンジで、リズミカルなペダリングを維持することに成功しています。
引用:「diatecitd.」より
日本のSHIMANOはMTB用のリア12段が最も多い
日本のパーツブランド「SHIMANO」では、MTB用コンポでリア12段が採用されているのみです。
ロード用コンポは相変わらずデュラエースの「2×11」が主流ですし、グラベルコンポのGRXも「1,2×11」が基本となっています。
堅実性が売りのブランドなので、あまり突飛なことはしないイメージが強いですが、時代の流れが「フロントシングル」+「リア多段化」に向く中で、SHIMANOがどういった舵取りをするのか注目ですね。
フロントシングル+リア多段化のメリット・デメリットは?
カンパニョーロ・EKARの1×13やSRAM・e-TAPの1×12など、ロードバイクのコンポーネントは「フロントシングル」+「リア多段化」の方向に進んでいると言えます。
フロントシングルで運用するために、スプロケットをワイドレシオ化し、操作をシンプルにしながら幅広い道に対応することができますが、こういったタイプのギア構成のメリット・デメリットはどうなのでしょうか。
メリット
フロントシングル+リア多段化のメリットは下記の4点です。
- 【メリット】
- ・操作が片手のみでシンプルになる
- ・Fディレイラー排除で軽量化
- ・荒れた路面でもスムーズにギアチェンジできる
- ・幅広い路面に対応可能
フロントシングルのメリットについては、操作が右手のレバーのみで行えるため、非常にシンプルで簡単になります。
特に、オフロードでの走行も想定したグラベルロードだと、起伏の激しい荒れた路面でガタガタ揺れる中、左右のレバーで最適なギアに変速するのは難しいはずです。
フロントシングルなら片手のみの操作になるので、路面変化に合わせて直感的な操作が可能になります。
Fディレイラーが不要になり、チェーンリングも1枚減るので軽量化にも繋がるでしょう。
さらに、リア13段であればスプロケットもワイドレシオで、幅広い路面に対応できますし、段数が多いので1枚1枚の歯数が大きく飛ぶこともないでしょう。
例:EKAR:9-36t(9-10-11-12-13-14-16-18-20-23-27-31-36)
デメリット
- 【メリット】
- ・ギア比の選択が難しくなる
一番難しくなるのが「ギア比の選択」ではないでしょうか。
激坂を上ることも想定すれば前後1:1のギアもあった方が心強いですし、しっかり走る用のギアも必要なはずです。
例えば、カンパのEKARの場合、こういったギア比になることが想定されます。 - ・フロント:42T
- ・リア:9-36T (9-10-11-12-13-14-16-18-20-23-27-31-36)
最もギア比が高くなるのは「前42T/後9T」で「4.66」となります。
※ロードバイク用の「前52T/後11T」のギア比は「4.72」
最も軽いギアは「前42T/後36T」でギア比は「1.16」。
※ロードバイク用の「前36T/後30T」のギア比は「1.2」
こちらのギア構成だと、全体的にロードバイクよりも”軽い”ギア比となりそうです。
上りでは便利ですが、高速域での走行では一般的なロードバイクに分があるでしょう。
ギア比選択の問題はロードバイクでも同様にありますが、フロント1枚が固定なので、選ぶギア比によってスタイルがかなり決まってくる可能性があるはずです。
まとめ
ロードバイクのギアもついにリア13段の時代に突入しています。
日本のサイクリストとしては馴染み深いSHIMANOがどういった反応を示すのか気になるところですし、SHIMANOが本格的にリア多段化を推し進めていくと、一気に普及が進んでいくでしょう。
今まで当たり前だった2×11が変わることが予想されるので、これを機に自分の自転車のギア比を見直してみるのもいいかもしれませんね。