UCIが2021年発表したルール変更を紹介!走り方やフレーム設計が大きく変わる?
新型コロナの影響でスケジュール変更やレース規模の縮小など、大変な状況が続く自転車ロードレース業界ですが、2021年に発表されたルール変更が大きな注目を集めています。
1つはレース中の安全性向上に関わる「走り方」に関するルール変更で、もう1つはリーク情報ではあるものの、「フレーム設計の規制緩和」に関する内容が中心となっています。
自転車ロードレースで見慣れた光景が禁止されてしまうこともあり、選手やファンには動揺が広がっていますし、車体に関するルール変更については、ロードバイクのさらなるエアロ化が加速すると期待を集めているようです。
今回はそんなUCIのルール変更について詳しい内容を紹介していきます。
安全性向上のためのルール変更
UCIは、2021年2月9日にレース中における安全性向上を目的とした走り方に関するルール変更を発表しました。
2021年4月1日から適用されており、指定された乗り方はすでにレースで見ることはできません。
この中で発表されている主なルール変更は以下の3点です。
・トップチューブに跨るスーパータック(クラウチング)の禁止
・前腕をハンドル置くポジションの禁止
・エリア外でゴミ捨て禁止の厳格化
これらについて詳しくみていきましょう。
トップチューブに跨るスーパータック(クラウチング)の禁止
主にダウンヒルで空気抵抗を軽減するため、トップチューブに跨ってより低い姿勢で走る「スーパータック(クラウチング)」による走行が禁止されました。
ツール・ド・フランスにてクリス・フルームが、クラウチングによるダウンヒルアタックを決めた姿を思い出した人も多いはずです。
確かに危険性の高い乗り方でもあり、素人が気軽に真似をすると大怪我に繋がる可能性もあるため、模範になるべきプロが正しいフォームで走行することを重視した判断と言えるでしょう。
ただ、選手からは批判の声が上がっており、UCI側との意見の不一致が見られます。
前腕をハンドル置くポジションの禁止
いわゆる「TT(エアロ)ポジション」とも呼ばれる乗り方で、ノーマルバイクのフラットバー部分に前腕を乗せて、低い前傾姿勢を取りながら走るフォームも禁止されました。
平地で集団を引く選手や逃げている選手によく見かけられます。
こちらについては、それほど大きな危険性は感じないのですが、戦術が高度化し、レース全体の負荷が高くなった中で、リスクある乗り方と判断されたのかもしれません。
エリア外でゴミ捨て禁止の厳格化
こちらについては走り方ではなく、レース中のマナー面でのルール変更です。
レース中に食べる補給食やサコッシュ、ボトルを投げ捨てる光景を見たことがある人も多いでしょう。
本来であれば、こういったゴミを捨てるエリアが決められているのですが、今回のルール変更では、エリア外でゴミを捨てた選手に対する罰則が強化された形になりました。
具体的には、指定範囲外でゴミを捨てた場合に、罰金やUCIランキングの減点、レースの失格、タイムペナルティなども課されるようです。
安全性の問題というよりは環境への配慮を考えた改善と言えるでしょう。
フレーム設計に関するルール変更
こちらに関しては、リーク情報でもあるため正式に発表されたわけではないのですが、信憑性の高い情報として出回っているようです。
2021年シーズンからフレーム設計の規制に関する以下の3点が緩和されるようです。
・トップチューブ/ダウンチューブの最小幅2.5cm→1cm
・チェーンステー/シートステーの最小幅1cmルールの撤廃
・シートポストはシートチューブの延長線上でなくてもいい
具体的にどのような内容なのか詳しく紹介します。
トップチューブ/ダウンチューブの最小幅2.5cm→1cm
これまでロードバイクのトップチューブやダウンチューブの幅は2.5cm?8cmまでと定められていました。
その最小幅が2.5cmから1cmに変更されるようです。
これが採用されると、よりエアロ化に特化した縦に平べったいチューブ形状も可能になってきます。
技術の進歩とともにエアロ化と強度の確保を両立できるようになったことが理由として考えられます。
チェーンステー/シートステーの最小幅1cmルールの撤廃
チェーンステーとシートステーに関しては、最小幅1cmというルールも撤廃されました。
このため、強度を確保できる範囲で極限まで薄くしたフレームが設計されるかもしれません。
フレーム各部の幅をより薄くすることができるルール変更になっているため、ロードバイクのさらなるエアロ化(横から見ると大きくて前から見ると薄い)が進むことが考えられるでしょう。
画像引用:CYCLINGTIPS
シートポストはシートチューブの延長線上でなくてもいい
従来のルールではシートポストはシートチューブの延長線上でなければならなかったのですが、このルールも変更されます。
シートチューブは必要なのですが、シートポストの配置が自由になるため、TTバイクのような設計のロードバイクが登場するかもしれません。
画像引用:CYCLINGTIPS
まとめ
UCIによる2021年のルール変更について紹介しました。
安全性向上に関するルール変更については、妥当な部分もあるものの、少しでも高いパフォーマンスを発揮したい選手側から不満が出ているようです。
フレームに関するルール変更はまだ発表されていないリーク情報ですが、これが実現するとフレーム設計が大幅に刷新される可能性がありますね。
市販車のラインナップにも影響が出てくるかもしれないので続報を待ちましょう。