コラム

自転車業界はいま不況?ポストコロナの状況は?

「コロナ禍で自転車の需要が急増!」という言葉を耳にした経験があるサイクリストの方は多いはずです。

コロナ禍で密を避けるために自転車に注目が集まり、過去に類を見ない自転車ブームが巻き起こり、一時は需要に生産が追いつかない状況にもなっていました。

しかし、コロナが落ち着いた現在、自転車業界は不況に陥っているようです。

今回は自転車業界の不況について調査していきます。

自転車業界が不況に陥っている理由は?

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自転車業界が不況に陥っている理由を解説します。

ここ数年で自転車業界に何が起きていたのか、順を追ってみていきましょう。

コロナ禍で大幅な需要増で景気は良かった

2020年〜2022年までの間は、コロナ禍で自転車ブームが起きていました。

密を避ける移動手段として自転車が注目を集め、健康志向の高まりもある中で、自転車の需要が大幅に増加し、自転車業界の景気は最高潮でした。

ポストコロナで需要が落ち着き在庫が増えた

コロナ禍が落ち着いてからは自転車の需要が落ち着き始めました。

その結果、ブーム時に生産されていた自転車の在庫を大量に抱えるようになり、経営に悪影響を与えています。

ブーム時は品不足の状態ですらあったのですが、需要に対応するために生産を拡大した結果、在庫が増えています。

度重なる値上げでユーザーの買い控えも

需要の変化だけでなく、円安や原材料費・燃料費の高騰による商品の値上げも影響を与えています。

度重なる値上げが続く中で、ユーザーも買い控えを起こすようになりました。

需要の鈍化とともに、ユーザーの買い控えが合わさったことで、自転車業界の不況が加速したと考えられます。

自転車業界の不況でメーカーにもさまざまな影響が及ぶ

自転車業界が不況に陥る中で、完成車・部品メーカーにもさまざまな影響が及んでいるようです。

ここでは、不況によるメーカーへの影響をまとめていきます。

自転車部品メーカー「SHIMANO」は23年12月期純利益46%減

日本を代表する自転車部品メーカーは、2023年12月期の純利益が46%減少したことを発表しました。

コロナ禍の自転車需要の増加で勢いに乗り、過去最高益を記録したことも記憶に新しいですが、自転車ブームがひと段落したことで、減速傾向にあるようです。

「シマノ純利益46%減に 23年12月期、自転車部品需要減る」

また、欧米を中心に自転車部品の在庫が増加しており、新規受注が減少していることも、利益を圧迫しているようです。

年度別のSHIMANOの売上高を見ても、コロナ禍での成長とポストコロナでの減退は顕著です。

【年度別SHIMANO売上高】
・2020年:378,040百万円
・2021年:546,515百万円
・2022年:628,909百万円
・2023年:474,362百万円
引用:みんかぶ

ただし、2023年の売上高もコロナ禍を除けば、高水準を維持しているため、これ以降どの程度で売上高が落ち着くのかがポイントになりそうです。

最大手「TREK」は事業規模を縮小
ロードバイクメーカー最大手の「TREK」も、事業規模を10%縮小すると報じられました。

コロナ禍が落ち着いたことで、新規販売の低迷と在庫の増加に対応するため、事業規模を適切なサイズに戻す意図があるようです。

「Trek Bicycle plans to ‘right size’ with 10% cuts to spending」

自転車需要の急激な変化に対して、どのメーカーも在庫の調整が求められています。

自転車業界の不況でロードバイクは安くなる?

自転車業界が不況に落ちいる中で、ユーザーとして気になるのが「自転車はこれから安くなる?」ですよね。

確かに一般的には需要が落ち着けば、商品の価格は低下する傾向にあります。

ただ、価格を決める要因はさまざまあるため、一概に安くなるとは言えません。

在庫処分のセールを狙えば安く買える

2023年から続く自転車業界の不況の原因としては、自転車ブームによる過剰生産から需要が落ち着いたことで、在庫が急増したことが挙げられます。

そのため、メーカーも小売店も完成車の在庫を数多く抱えていると考えられるでしょう。

毎年のように新モデルがリリースされる中で、在庫を抱えるのは経営を圧迫するため、在庫処分のためにもセールによる販売が行われるはずです。

新モデルが安くなる可能性は低いですが、旧モデルの在庫を狙うのであれば、ロードバイクを安く買うチャンスかもしれません。

新車価格は相変わらず高いまま?

新車価格が高騰する要因は、需要の増加以外の要因が強いです。

円安や原材料費、燃料費の高騰など、ここ数年続いている状況で、今度も改善する見通しは薄いため、新車価格は高いままになるでしょう。

まとめ

ポストコロナで起きている自転車業界の不況について調査しました。

どちらかといえば、ここ数年の需要が異常だったと考える方が自然なのですが、過剰生産と在庫の増加はメーカーや小売店に悪影響を及ぼしているでしょう。

今後は需要も生産も落ち着く中で元通りになればいいのですが、価格の高騰は続きそうなので、ユーザーにとっても悩ましい状況は終わらないかもしれません。

ここ数年で激しく動く自転車業界ですが、これからロードバイクを購入予定の方は参考にしてみてください。

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