コラム

スリップストリームってどれぐらい凄いの?

自転車ロードレースなどで各チームが隊列を組んで集団で走る様子を中継映像などで見かけることがあるでしょう。集団で走ったり、トレインを組んで走ったりすることで「スリップストリーム」によって空気抵抗を減らすことができます。

レースではエースの脚を温存したり、逃げを捕まえるために集団で協力して走ったりする際に活用されます。

そこで今回はそんなスリップストリームの凄さについて解説していきます。

スリップストリームとは?

slipstream_02

スリップストリームとは、ロードバイクと乗り手の脇を抜けていく気流のことで、後ろ方向に引っ張られる力が働くため、空気抵抗として速度を低下させます。

ロードバイクの後ろで走ることで、発生する桐生の影響を弱めることができるため、少ない抵抗で走ることができます。

さらに、隊列の後ろにいるほどスリップストリームの効果は大きくなるため、レースなどではエースを集団の後ろに配置させて体力を温存させる作戦を行います。

確かに、ロードバイクは空気抵抗との戦いなのでイメージしてみれば分かりやすのですが、レースなどに参加したり集団でトレーニングをしたりする経験がない人にとっては「本当にそんなに効果があるの?」と疑問に思うかもしれないでしょう。

スリップストリームに関する実験

実際にスリップストリームに関する実験を行った動画があったのでご紹介します。

【自転車のスリップストリームは本当に効果がある? | ナショジオ】https://www.youtube.com/watch?v=bTZ8X8vJPr0

トラック10周(合計4.5km)を単独で走るのと、前方にペースメーカーを配置して走るのでタイムを計測しました。

その結果は以下の通りです。

  • ●単独走行 :5分39秒
  • ●前方にペースメーカーを配置: 4分53秒

 

たった4.5kmで46秒ものタイム差が生じたため、スリップストリームに入ることによる効果の大きさがわかります。

スリップストリームによる効果

slipstream_01

スリップストリームを利用することによって、後続で走る選手は通常の6〜7割の力で走ることができると言われています。

自転車レースの終盤で逃げている選手たちを集団が簡単に追い込んでいくのを見ると、スリップストリームによる節約効果の大きさがわかるでしょう。

また、集団走行においては綺麗な隊列を組んで走ることで、効率よく走ることもできますし、疲れた人を後ろにおいて引っ張ってあげることも可能です。

スリップストリームのポイント

スリップストリームを活用するときのポイントについて解説していきます。

主なポイントは以下の5つです。

①車体の間隔は40cm程度
②視線は上げて前を見る
③風向きによって隊列を調整する
④ダウンヒルではマージンを取る
⑤前後交代ではスピードをあまり変化させない

では、1つずつ詳しくみていきましょう。

車体の間隔は40cm程度

スリップストリームは車体間隔が近くなければ効果を発揮できません。

初心者だと怖かったり危なかったりするのですが、効果を得るためには40cmの間隔で走る必要があります。

イメージとしてはホイール半分のスペースを空けて走ってみてください。

視線は上げて前を見る

隊列を組んで走るとついつい前の走者にぶつからないか気になって視線が前のホイールに向いてしまいますが、目線を上げて周囲の状況を確認しなければなりません。

1つの部分に集中するのではなく、全体をバランス良く捉えながら、適度に間隔を確認する程度に抑えてください。

風向きによって隊列を調整する

無風のときは基本的に前方からの空気抵抗を抑えるために縦方向の隊列を組みますが、風向きによってこれを調整しなければなりません。

例えば、横風が吹いているときには、吹いている方向に合わせて後続車が斜め後ろに着くのがセオリーです。

ダウンヒルではマージンを取る

ダウンヒルでは空気抵抗に関係なくスピードが出るので、バイク2台分ぐらいのマージンをとって安全に走ってください。

下り坂でのスリップストリームは大事故に繋がりかねないので注意しましょう。

前後交代ではスピードをあまり変化させない

隊列の前後をローテーションする際には、無理にスピードを変化させる必要はありません。

前の選手が隊列の横にズレたらスピードを維持する意識で走って、自然に後方に移るようにしましょう。

過度にスピードを落としてしまうと隊列に戻った際に無駄な脚を使わなければなりません。

まとめ

スリップストリームの効果について解説しました。

基本的には車体同士が近づいて走るのは危険なので、車が走っている公道では控えてください。

クローズドなサーキットや人気のない田舎道など安全に走れる条件が揃った場所で試してみてください。

この記事もよく読まれています!

コラム一覧