ロードバイクで走りを分析する際に使用する用語
自分の走りを分析するためには、数値化された走行データを読み取る必要があります。
走行距離や平均速度など、表面的に理解できる単純なデータだけでなく、その他にもさまざまなデータや指標などがあり、それらを正確に読み取ることで自分の走りが客観的に把握できます。
しかし、慣れない用語が並んでいると「これは一体何を表しているのか?」と疑問に思ってしまうはずです。
今回はロードバイクの分析で使用する主な用語や指標を解説します。
rpm(ケイデンス)
rpm(ケイデンス)は、1分間でペダルが何回転しているかを表す単位で、例えば1分間に60回転している場合は「60rpm」と表されます。
効率の良い走りをするためにはrpm(ケイデンス)を一定に保つのが効果的で、そのためには、斜度や路面、風向きの変化に応じてギアを適宜調整しなければなりません。
また、人によって走りやすいrpm(ケイデンス)は異なっており、一般的には70~90rpmを目安に走ってみるといいでしょう。
心拍数
長時間の有酸素運動でもあるロードバイクでは、心拍数の管理も重要になります。
主な使い方としては「220-年齢」で求められる最大心拍数を基準にすることで、ペース作りやトレーニング強度を決めることができます。
例えば、長距離を走るのであれば最大心拍数の60~70%を維持しながら走るのを意識するといいですし、トレーニングで持久力を向上させるなら80~90%まで上げなければなりません。
ヒルクライムですぐに息が切れてペースが落ちてしまう人は、心拍数を管理しながら走るのもおすすめです。
出力(W)
出力(W)は、パワーメーターを用いて計測する数値で、ペダルを回すパワーを表します。
効率的に走るためには出力を一定にして走る必要があり、路面や斜度などの変化による影響を受ける速度やケイデンスよりも重要な指標でもあります。
出力を一定に保って走ることも重要ですし、平均的に出せる出力を上げるトレーニングをしなければなりません。
FTP(Functional Threshold Power)
FTP(Functional Threshold Power)とは、「1時間維持できる平均出力(パワー)」を指しています。
例えば、FTPが150Wの人は「1時間150Wの出力で走り続けられる」ことを意味します。
ロードバイクにおける持久力の指標として用いられており、トレーニングの効果を計測する目的でFTPを使用することもあります。
パワーカーブ
パワーカーブは、FTPをもっと細切れにした指標のことで、単位時間当たりで維持できる出力を表すデータです。
例えば、スプリントが得意な人は5〜10秒で維持できる出力が高いのですが、10分〜1時間で維持できる出力は低くなる傾向にあります。
パワーカーブを見ることでライダーの脚質も分かりますし、トレーニングで強化するポイントも明らかにできるでしょう。
TSS(Training Stress Score)
TSS(Training Stress Score)は、トレーニングによる疲労度を示す指標で、メニュー決めやコンディション管理などに用います。
基準としてはTSSが150以下なら「強度:低」となり、150~300で「強度:中」、300〜450「強度:強」となっています。
TSSは計測機能が搭載されたサイコンを使って測れます。
パワーウェイトレシオ
パワーウェイトレシオは、「体重1kg当たりで出力できるパワー」を指すもので、主にヒルクライマー向けの指標です。
上り坂では重力の影響を受けて、体重が軽い方が有利になるため、「より軽い体重で高い出力を出せる選手」が有利になります。
そのため、ヒルクライマーは出力アップだけでなく、体重管理によってパワーウェイトレシオを高めるようなトレーニングが求められます。
LT(Lactate Threshold)値
LT(Lactate Threshold)値は、簡単に言うと「乳酸値が急激に上がるポイント」を指しており、そのポイントを超えると運動が急激にキツくなります。
心拍数やパワーを基準にLT値を算出しており、例えば「心拍数が160回/分を超えるとキツくなる」「出力が250Wを超えるとキツくなる」などと表せます。
自分がキツくなる限界値の目安と考えられるので、ペース配分を考える上でLT値を超えないように走るのが重要です。
VO2max
VO2maxは最大酸素摂取量のことで「1分間にどれだけの酸素を取り込めるか」を表しています。
持久力を示す指標とも言われており、活動の源でもある酸素をどれだけ効率的に体内に取り入れられているかが重要で、主にトレーニングの効果を評価する指標として用いることができます。
パワーゾーン
パワーゾーンとは、トレーニングの強度を示す指標です。
FTPを基準にレベル1~7まで分けてトレーニングの強度を図のように表しています。
また、FTP比90%当たりのゾーンをSST(Sweet Spot Training)と呼び、持久力アップに効果的です。
ペダリンググラフ
ペダリンググラフは、クランクの各位置(0度〜360度)において出力されたパワーをグラフ化したものです。
「クランクのどのポイントでパワーがピークに達しているか」や「無駄な力が加わっていないか」など、ペダリング効率の改善に役立てられます。
クランクの90度の位置でパワーのピークになり、そこから180度に至るまでに力が抜けていくようなペダリングが理想的なのですが、自分のペダリングを客観的に把握した上で意識的な改善が可能です。
まとめ
ロードバイクで走りを分析する際に使用される用語を紹介しました。
さまざまな用語があって複雑な部分もありますが、自分に必要なものを絞って効果的に活用してみてください。
分析に使う用語を使いこなして、トレーニングを効率的に進めていきましょう。