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今後注目の先端素材「ダイニーマ」とは?

ロードバイクのフレーム素材といえば、アルミやカーボン、クロモリ、チタンなどがありますが、さらなるスペック向上を求めて、より軽量かつ剛性に優れる素材が採用されています。

その1つが「ダイニーマ」で主に登山用品に使われる繊維素材で、軽さと丈夫さに特徴があるのですが、フレームにダイニーマを採用することで、軽量性だけでなく総合的な性能を引き上げてくれます。

今回はそんな注目の先端素材「ダイニーマ」を紹介します。

ダイニーマとは

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ダイニーマとは、「超高分子量ポリエチレン」と呼ばれる繊維に名付けられた商品名のことで、通常を遥かに超える分子量によって、極めて高い強度を実現した強靭な素材として注目を集めています。

主に登山やキャンプで使われる用品で使われ始めた先端素材なのですが、ロードバイク業界にも試験的に採用される流れが訪れています。

では、まず最初にダイニーマとは何なのかについて詳しくみていきましょう。

高い強度と軽量性を兼ね備えた素材

ダイニーマは軽量性に優れる素材ながら驚異的な強度をもっているのが特徴です。

スチールの15倍、アラミド繊維よりも40%高い強度を実現しており、柔らかさもありながら破れにくくなっています。

そのため、アウトドア用品ではテントやバックパック、小物入れなど、さまざまな物に採用されています。

湿度や紫外線などのダメージにも強い

強度自体が高い素材は数多くありますが、使い続けることで湿度や紫外線などによる劣化で耐久性が落ちてきます。

ダイニーマは紫外線や温度、化学物質など、さまざまな環境変化にも強い耐久性を有しています。

過酷な環境で使い続けても丈夫さがキープできるため、長く使い続けることができるでしょう。

バックパックやテントなどに使われる

ダイニーマは主に登山用品やキャンプ用品で採用されている素材です。

高機能素材でもあるためダイニーマを使用した商品は高価になっているのですが、丈夫な分だけ長く使えるのでコスパの良さはあります。

防水性も高く、使い勝手も高いですし、軽量で荷物にもならないため、バックパックやテント、小物入れなど幅広いアイテムで役立つ素材です。

『AETHER バックパック ダイニーマ製』

ロードバイクにダイニーマを採用する理由

ロードバイクにダイニーマを採用する理由としては以下の3点が挙げられます。

①通常のカーボンフレームと比較して軽さと振動吸収性が向上する
②落車時のフレームへのダメージを軽減する
③ウェアに使えば落車で破れた際の出血も防げる

では、1つずつ詳しくみていきましょう。

通常のカーボンフレームと比較して軽さと振動吸収性が向上する

カーボンフレームの中にダイニーマを組み込むことで、従来のカーボンフレームよりも軽くて振動吸収性に優れるロードバイクが実現できます。

高い強度と軽量性を両立した素材でもあるため、フレームの設計にも幅を持たせることができるでしょう。

カーボンだけではできなかった自由な設計によるフレームが開発されることで、ロードバイクの進化が推し進められるかもしれません。

落車時のフレームへのダメージを軽減する

高い耐久性に加えて、耐摩耗性や耐衝撃性にも優れた素材なので、転倒した際でもフレームの破断が防げます。

従来のカーボンフレームでは、衝撃によるひび割れや傷などが生じやすく、破損があった箇所から劣化が始まるため使いにくさを感じる部分もありました。

ダイニーマを採用することで衝撃が加わった際のフレームの耐久度が上がるため、ライダーの安全性の向上にも繋がるでしょう。

ウェアに使えば落車で破れた際の出血も防げる

ダイニーマはフレームだけでなく、サイクルウェアやシューズのアッパー部分にも採用されています。

軽量性と高い耐久性を武器にさまざまなアイテムでの採用が期待されています。

特にウェアについては優れた耐摩耗性を活かして、落車の際にもウェアが破れにくくなることで出血が防げます。

タイムの人気モデル「Alpe d’Huez」の2023年モデルで採用される

ダイニーマを採用したロードバイクには、タイムのヒルクライムモデル「Alpe d’Huez」があります。

以前にはグラベルモデルの「ADHX」にもダイニーマが採用されており、素材の性能を実証した上で今回のレーシングバイクへの投入へと至りました。

ヒルクライムバイクということで、優れた軽量性による登坂性能を獲得しており、従来のカーボン技術に加えてダイニーマを投入することで、軽さと強度をより高い次元で実現しています。

まとめ

ロードバイク業界で今後注目の新素材「ダイニーマ」を紹介しました。

軽さと強度を高次元で実現した素材を使うことで、従来のカーボンフレームではできなかった設計も可能になりそうです。

ロードバイクのさらなる可能性を切り開く素材になりそうなので、どのような使われ方をされるのかチェックしてみてください。

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